シューキャク・マンの集客日記

動物を介して地域に希望の光を与える支配人/2017.5月号月刊ツイン好評連載中

『月刊ツイン』2017年5月号表紙
シューキャク・マンのツインTalk vol.9
キーマンから学ぶ生き方、働き方
月刊ツインにて好評連載中!!
毎月、さまざまなジャンルのプロフェッショナルや社長をお迎えして
働き方や生き方を誌面上でうかがっていきます。
ナビゲーターは、シューキャク・マン株式会社代表取締役の浜畑です。
那須どうぶつ王国 総支配人 鈴木和也
那須どうぶつ王国
栃木県那須郡那須町大島1042-1
総支配人 鈴木和也

“地域に愛される動物園”を目指して

レッサーパンダやカピバラなどおなじみの動物から、猛禽類、爬虫類まで。多くの生き物が自然の姿のままに雄大な那須高原の懐で暮らす「那須どうぶつ王国」。動物とのふれあいや様々なアトラクションを楽しむことができる、那須の人気観光スポットだ。この春で開国20周年を迎え、新たなゾーン「熱帯の森」がオープンするなどますます施設の充実を見る同国の総支配人・鈴木和也さんは、屈託のない笑顔の奥に大きなエネルギーを秘めた人。その行動力や地域と人をつなぐ力、動物たちへの限りない愛情などは私自身、仕事を通して熟知しているつもりだ。

鈴木さんが那須の地へやってきたのは28年前。最初はスキー場「マウントジーンズ那須」、次いで「那須どうぶつ王国」の立ち上げに関わった。「当初から“地域に愛される動物園”を目指してきました。と言っても、最初は犬と猫と馬しかいなかったんですよ。その後、アルパカやレッサーパンダ、鳥類など少しずつ種類を増やし、動物たちによるパフォーマンスも導入するなど施設全体の拡充をはかってきました」。その一方で、メディアをはじめ、多方面との関係を構築するなど、精力的に活動を続け、2006年には総支配人に就任。その毎日はますます多忙を極めたが、努力の甲斐あって入場者は当初の2.5倍に達するなどその成果は現実のものとなっていった。

東日本大震災発生、そしてその後

このように順風満帆に見えた鈴木さんの仕事だが、状況を一変させてしまう出来事が起こる。2011年3月に発生し、多方面に甚大な被害をもたらした東日本大震災だ。「震災直後、お客さんはゼロに近い状態になりました。まさに青天の霹靂です。でも、動物たちはこの場所で生きている。自分としては、何が何でもその命を守っていかなければならなかった。そのためには何をするべきか、この王国や那須という地域と自分自身がどう向き合っていけばいいのかを考え続けました」と鈴木さん。動物たちを守りながら、客足を取り戻していかなければならないーー新たに大きな使命が課せられたが、そんな時だからこそ鈴木さんは迅速に行動する。まずは大きな被害を受けた東北の被災者に対し、入国料を無料にすることを決定。その結果、何と15万人もの来場があったという。「みんな動物たちによる癒しを求めてやって来たんでしょうね。その人たちからお金はいただかなかったけれど、多くの人が王国のファンになり、リピーターになってくれました」。その後、楽天イーグルスのスポンサーとして仙台の球場でワシを飛ばすパフォーマンス「イーグルフライト」に被災者を招待するなど、震災によって深い傷を負った人々に対し、動物を介して希望の光を与え、共に手を取り合って行こうというメッセージを伝え続けていった。鈴木さん自身、動物たちの姿を見て皆、笑顔になるのが本当に嬉しかったという。

那須どうぶつ王国 鈴木/シューキャク・マン代表浜畑

那須地域全体にさらなる光を

その後も鈴木さんのアグレッシブな行動はとどまることを知らない。那須の名物メニュー「那須の内弁当」協議会会長や那須ブラーゼンの発起人として広報アドバイザーを務めたり、メディア出演をしたりと地域を盛り上げ、多くの人に元気を与えるための活躍は多岐にわたる。今後は王国のみならず那須全体を展望し、さらなる光が当たるように尽力したいと語る鈴木さん。その目は何の気負いもなくただまっすぐと前を見つめ、眼差しに宿る未来への想いは確かに私にも届いた。

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